夜明けまで15,000マイル (2004年9月〜2010年5月まで)

ボーンヘッドスプレマシー



いやいや、大体、酒を飲んだ後に麻雀をする事自体、そもそも間違っているのだ。

だが―。

いつものように、いつものごとく。
例のように、例のごとく。

哲さんとその一味

の甘言にまんまと絆されてしまい、
ついつい夜遅くまで付き合わされてしまう羽目となるのである。

そのおかげで、
今年に入ってからと言うもの、私は彼らに手痛い思いばかりさせられている。

降りてはツモられ、勝負しては振り込み、
全くもって、実に理不尽極まりない展開を浴びせられっ放し!だったのである。

こないだなんて、
最近マザーテレサのTシャツの行商をし始めたと言うU野氏の親、5順目リーチに対抗して、
私が歯を食い縛って勝負した 2ピン が、ガツーン!と当たり牌。

しかも―。


BONEHEAD SPREMACY


ナ・ン・ナ・ン・デ・ス・カ?コ・ノ・テ・ハ?

り、理不尽っちゅうにも、程があるっちゅうねん!

え〜と、リーチ、メンチン、イッツー、イーペンコー、ドラ4で、よ、四倍満!?
(取り決めにより「数え役満」ルールは無し。赤5が1枚、裏ドラ1枚。)

間違ってはいけないからと、これ見よがしに、私の面前で、
シツコク、シツコク、ホーント、シツコク、本数の数え直しを行うU野氏。

得意気な髭面が、Fuckin'! 一層、小憎たらしく見えるのは、
何も、私の人間性が余りに小さいから、と言う事ばかりではないだろう。

麻雀生活25年!
わずか5順目で、こーんなデカイ手が入る事なんて、早々あるものではないのだ。

異例なのである。

従って、そんな鬼手に振り込んでいるようじゃぁ、その晩の運気もドン底となる事は必至であり、
案の定、私は、人生稀に見る大敗を喫し、
深い深い失意を抱えながら、トボトボ家路に着く事になったのであった・・・。

だが―。

そんな私の窮状を察してくれたのだろうか?

―それは真夜中の時計のひびき

麻雀の神様が、次は私の番だと言わんばかりに、
アンドゥトロワと炎のように全てを燃やす夜を提供して下さったのである。

と言うのも―。

後日。

私は、固くリベンジを心に誓って、果敢に四角いジャングルに参戦させて頂いたところ、
ある局、ついに御褒美配牌がやって来たのである。

おおぅ、ドラが 9マン の所に、あ〜れま!?配牌から 9マン が暗刻ではないか!

しかも、萬子と字牌も多い事から、目指すべきは、断然、混一色ドラ3のハネマンコースに決定。

すると―。

何やかんやと要らない牌を整理して行って、7順目、


BONEHEAD SPREMACY


ゥゥラッキーーッ!、西 まで暗刻になってしまったではないか!?

2萬 で、一先ず、混一色、三暗刻、ドラ3の倍満コースへとランクアーップ!

そして、次巡。


BONEHEAD SPREMACY


おほーっ!今度は上に伸びて来たかぁっ!!
だったら、チャンタへの手変わりを期待して、打 4萬 で仮テンだぞ、コンチクショーーッ!!
ツモって三倍満へと大躍進させる作戦で行ってみようっ!!!。

そして、更に次巡。


BONEHEAD SPREMACY


かーーっ! 発 なんて、エライ薄いトコ引いちゃったよ、おい、
想定外の引き強で、混一色、三暗刻、発、チャンタ、ドラ3で、
あっちゃちゃちゃーっ!出上がりでも三倍満手なってしまったではないかーーーっ!?

5萬 を切れば、待ちは、 7萬8萬 で、 4萬5萬 の筋で、割合、出やすい所。

恐らく、 8萬 の方が出上がり期待大である。

ん〜、でも、 7萬 だったら、チャンタにならないのかぁ。

まぁ、綺麗な手なんだし、2翻下がっても、出来ればここは一つ上がっておき・・・・ホヨっ!?

た、単騎で上がるってなると、つまり、ぜーんぶ、暗刻になってしまうって事なのだから、
するってーと、ひょっとして・・・・。

四暗刻と言う奴ではないですかーーーっ!?

しかも、スッタンのダブル役満。

あぁ、久しくこんな手なぞお目に掛かった事がなかったので、
ちーっともそんなご大層な事に気付く事ができなかった・・・。

おほぅっ!俄然、やる気が湧いて来た。

この手、是が非にでも成就させてやるぞ!!

などと一人意気込んだ所で、さて―。

ここで二つの選択肢。

リーチを掛けるか?掛けないか?

そして、 5萬 単騎で受けるか? はたまた、 7萬8萬 の変則2面待ちで受けるか?

私は、無論、 5萬 を切って、声高らかに、

「リーーーチ!」

ここまで絶好調にツモって来たのだ、
間違いなく、 7萬 はツモる!

また、リーチを宣言する事によって相手を降ろさせ、
自分は悠々自適にツモ上がりを期待する作戦。

プラス、よしんば勝負して来た所で、クソ引っ掛けの7萬8萬 待ちである。

ポロリと零れ落ちる事は十二分に期待できる。

ところが―。

私の、気合いの乗った渾身一滴ダブル役満リーチに対して、
最近マザーテレサのTシャツの行商をし始めたと言う髭ムサイU野氏が、無粋にも刃向って来た。

しかも、こやつも、

「リーーーチ!」

そして、そのリーチ宣言牌が目に飛び込んで来ると、
あぁ、見たくもない、つい3秒前まで私の手元にあった当たり牌、 5萬 !?

ホーント、そりゃないよ〜っ!などと落胆させられた所へ、更に、

「リーーーチ!」

今度は、対面に座る、巷で小銭に汚いと大層評判の花屋の小倅、ジャンゴが無謀に追っ掛けて来た。

そして、またまた、そのリーチ宣言牌が 5萬 だったものだから、私の心境いかばかりか?
心が折れると言う所の騒ぎではない。

従って、上家の哲さんは、三軒リーチにケンカせず、どうやらベタ降りの様相を見せる。

また、そんな酷い状況じゃぁ、私が一発でツモ上がれるはずもなく、あえなく一発目はツモ切り。

小倅と髭ムサイも、どうも待ちがヨロシクないようで、続けてツモ切り。

とは言え―。

運気の針はまだ揺れ始めたばかり。

順目も中盤、果たして誰に転がり込んで来るのか?全く分からない所の、私、二発目ツモ。

すると―。

親指にジャリと宿る感触を目で追い掛けてみると、そこには、 6ピン が鈍く光っていた。

無論、小倅と髭ムサイには全く無筋の超危険牌。

「えーい!」と言う掛け声と共に、その 6ピン を場に解き放つと―。

「ロン!」

声を発したのは、淀んだ空気を余りに不埒な言葉で一瞬にして切り裂く男。

すなわち―。

巷で小銭に汚いと大層評判の花屋の小倅、ジャンゴ!?

「え〜と、リーチ、イーペーコー、あ、裏乗ってドラ1ですわ。」

―あ。

私は一体何度同じ間違いを繰り返せば良いと言うのだろう?

「え〜っ、スッタンなんて、普通、リーチは掛けんやろ〜。」

などと言う哲さんの声が遠くで聞こえた。

手痛い言葉は、私のひっそりと沈んだ心にさざ波を立てつつ、
その日もまた、
巷で小銭に汚いと大層評判の花屋の小倅と
最近マザーテレサのTシャツの行商をし始めた髭ムサイ男に
理不尽に蹂躙されてしまったのであった。


 Oh baby, oh baby
 Then it fell apart, it fell apart
 Oh baby, oh baby
 Then it fell apart, it fell apart
 Oh baby, oh baby
 Then it fell apart, it fell apart
 Oh baby, oh baby
 Like it always does, always does


「 EXTREME WAYS 」


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2009年06月07日(日) No.1778 (プログレ割烹うまいぞいや哲)

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