夜明けまで15,000マイル (2004年9月〜2010年5月まで)

うまいぞいや!



「うまいぞいや哲」へ行くと、必ず目に飛び込んでくるのは、
小倉優子のカレンダーである。

白いビキニのいでたちに、ほんのり香る幼い色気。

何やら疲れが癒されるようである。

しかし、よく見ると、カレンダーには2003年と書かれてある。

つまり、去年のカレンダーを貼っているのである。

「哲さん、これ、去年のですよ」

などと言うと、主は、にんまりと笑って、

「でも、良いやろ?」

確かに。

確かに良いものには違いないのだけど、
ふと、ここだけ時間が止まっているような気がして来てしまう。

しかし―。

それが「うまいぞいや」の良いトコでもある訳で、
そんな雰囲気を嗅ぎたくて、私も足繁く通っている訳だ。

「こないだ、クリムゾンのファーストアルバム買ったんすよ。」

と言う話をしたら、

「お〜、そうか〜」

主は、嬉々として身を乗り出す。

「よし、今から、それ、掛けるぞ!」

主は、他のお客さんから受けた注文を他所に、
いそいそと傍らに積んであるコレクションを漁り出す。

「3曲目が好きなんですよ〜^^」

と私。

「おー、Epitaphかー。」

益々上機嫌で、CDをセットする主。

そして、
演奏が始まるや否や、腕組みをして、じっくりと聴き入り出した。
主も、余程気に入っていらっしゃるのが良く分かる。

しばらくして―。

「すんません、熱燗お願いします。」

と、注文すると、主は、実に辛そうな表情を作る。

「あ〜、こんなん聴いてると、仕事したく無くなってくるな〜。」

いやいや、
そんなん言わんと作ってくらはいな。

私は、ここが大好きなのである。
2004年03月17日(水) No.1382 (プログレ割烹うまいぞいや哲)

No. PASS