夜明けまで15,000マイル (2004年9月〜2010年5月まで)

うまいぞいや!焼肉かわ多編



「麻雀の弱ぇ、てむぞうって知っとっけ?」

私の面前で、嬉々と電話を掛けている方がいる。

と言うのも―。

彼はその日の麻雀で、一人カッパギ!
目下、めっちゃワンダホーターイム!を満喫中!!だったのである。

そんな幸運の持ち主であり、憎々しい口調で悦に浸る御仁、
それは、
悔しい事に、
めっちゃ悔しい事に、
めっちゃめっちゃ悔しい事に
「うまいぞいや」の御主人、哲さん、だったのである。

主の隣では、私と同様、負け犬君、てむぞう氏が、
苦々しく御満悦気分を聞いている。

ちなみに、揃いも揃った負け犬君と言うのは、

ツモらず、裏無し、チップなし、
生来のツキの無さには定評のある、私こと、マンプリ。

「ずんどこ日記」でもお馴染み、
「重い、暗い、長い」と言うプログレ三原則とは彼の言、ずん氏。

師匠は一日にしてならず!
途方に暮れる姿が、実に絵になるお方、てむぞう氏。

我々カモねぎ三人衆は、史上最大の四角いジャングル決戦を終えた後、

いつものように、いつものごとく、
例のように例のごとく、

本日のお調子男、哲さんと、米泉町にある「焼肉かわ多」へと繰り出したのである。

ところが―。

「ホンット、あいつ麻雀弱ぇよな!」

上機嫌で、ひ、ひ、ひつこいくらいの悪態を繰り返す哲さん。

だいたい、その日のダービーの結果をブチさんに聞いてみよう、
と言う事で連絡を取ったはずなのだが―、

「ホーント、弱過ぎて、話にならんわ!」

これである。

それでも、ビールが運ばれて来て、乾杯をしようとする段になって、ようやく、

「そうそう、今日のダービーどうやった?」

肝心の話を切り出した。

原則、試合が終わればノーサイド。

戦いの後は、敵も味方も関係無く、
互いの健闘を称え合う事こそ、スポーツマンシップであるはずなのだが、

「弱ぇてむぞうに、カンパ〜イ!」

あくまで、これなのである。

とは言え―。

実は、この語らいが楽しいのである。

そして、肉をつまみながらの談笑中、、

「マンプリちゃん、何か、わしらの事、ホームページに載っけてるそうやないけ〜」

哲さんが私に、そう尋ねて来た。

「そうや、そうや〜、手抜き、手抜き〜。」

合いの手を入れるのは、てむぞう氏。

「いやいや〜、私は語り部になりたいんすよ。」

そう。
私は語り部になりたいのである。

御手洗潔には、石岡氏。
ベイカー・ストリート221番地Bの住人には、ジョン・H・ワトスン氏。
手にした奇妙な紐を神経質そうにまさぐっている老人には、メアリ・J・バートン嬢。

私は、
「うまいぞいや」の歴史を語り継いで行く事に、私の、残り少ない人生を全うしよう!
そう思い始めていたのである。

そして、帰りがけ、

「いいよ、いいよ、今日はぜーんぶ俺が、奢(おご)っちゃるよ!」

哲さんは、こんな男前な言葉をかけて下さった。

口は悪くとも、こう言う方なのである。

でもね、続け様、

「どーせ、君らから巻き上げた金だから!」

・・・哲さん、そこまで言わいでも。

「そうだ!そうだ!わしらから巻き上げた金やんけ!」

・・・てむぞう氏も、そこまで、言わいでも。

「じゃ、遠慮なく、ゴッチ〜^^」

・・・ずんさん、めっちゃ素直。

何をゴールに決めて、何を犠牲にしてしまったのか?

懲りない面々の、懲りないストーリーは、
やはり、性懲(しょうこ)りも無く続いて行くのである。
2004年06月09日(水) No.1384 (プログレ割烹うまいぞいや哲)

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