夜明けまで15,000マイル (2004年9月〜2010年5月まで)

招待状のないショー



真夜中、放ったらかしにしておいた携帯電話を見てみると、何やらピコピコ光っている。

はて?

一応、着信記録を確認してみると、

―マザーテレサのTシャツの行商人
―髭ムサイ
―私から大層卑劣な手で48,000点をフンダクってった男


U野氏である。

何回も何回も、シツコクシツコク、掛かって来ていたので、
慌てて、返信してみると、これがまぁ、見事に繋がらない。

仕方がないので、ベッドでゴロンと煙草を吹かしていると、
しばらくして、U野氏の方から掛かって来た。

「何してるんすか?」

コレコレ、
私ゃ、すーっかりと、風呂入ってメシ食って屁ぇこいて寝よモードでいたのだが、
とっぷりと夜も暮れて、もう間もなく日も改まろうかとしているこの時間帯に、
一体全体、何の急用なのだ?

「いやね、最近、ジャンゴさんの髪の毛が薄くなって来たなぁ、と思って・・・。」

そうそう、近頃、ヤケにジャンゴのオツムが広がって来て・・・って、コラ!

そーんなどうでも良いような話のために、
私ゃ、家人達がシンと寝静まった頃を見計らって、
声を押し殺しつつ、こうして電話しなきゃいけないの?
(バレたら、大層誤解されるっちゅうねん!)

「まぁ、そんな話は置いといて、実は、I 崎さんが帰って来てるんすよ。」

あらま!?
名古屋で三マにハマってて、外人の従業員とのコミュニケーションに目下大層お悩み中のゲームボードマニアであり、そしてある時は、会社の慰安会が終わって、夜中の二時に、辰口温泉からわざわざ片町までタクシーで駆けつける、ある意味、大層男前なI 崎さんが、ここ金沢に御帰還遊ばれている、ですと!?

そう言えば、電話の向こう側で、どこかで聞いたような笑い声がドッと湧きあがっている。

って事は、するってーと、ひょっとして・・・・?

いつものように、いつものごとく。
例のように、例のごとく。

哲さんとその一味が、主のプログレ割烹に集結し、酒宴で大層盛っていると言う事だ。

すなわち―。

今夜、場が立ちますよ、と言うYesNo枕を言外に匂わせているのである。

だが―。

最早、風呂入ってメシ食って屁ぇこいて寝よモードに突入している私にとっては、
ちょっとこれから家を抜け出すと言う事は出来そうにない。

無論、家人達の目もある。

なので、大変申し訳ないんだけど、丁重にその酒宴をご辞退させて頂くと、
U野氏が、I 崎さんに、電話を代ってくれた。

おおぅ、何だかお元気そうである。

とは言え、せっかくI 崎さんが帰って来ているのに、行く事のできないその非礼を詫びると、
「また今度で良いですよ。」などとI 崎さんは快く許して下さった。

良い人なのである。

けど、ホーント、残念だなぁ。

もうちょっと早くその情報を頂いていれば、私もカツーン!と馳せ参じる事ができたのに・・・。

と言う事で、私は、電話を切ると、たちまち「ダイナマイトダンディ」を読み始めた。

「正しい奴が勝つとは限らない。でも勝った奴が正しいのだ。」

ジャンゴの髪の毛は確実に薄くなって来ていると思う。

そして、4巻目の途中で果てる。


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2009年08月12日(水) No.1850 (プログレ割烹うまいぞいや哲)

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