サン・ヴィート・ロ・カーポへの道
なーんて事が、ギュギュギュッと濃縮された夜。
何とか、レンタカーを手に入れた後は、目指せ、サン・ヴィート・ロ・カーポ!
だが―。
今回、お借りしたレンタカーって、オートマじゃないのである。
「何人たりとも俺の前は走らせねぇ!」
あぁ、およそ20年以上振りのミッション車なのである。
クラッチを入れる感覚なんて、全然、全く、まるで覚えていない。
そんな高尚な感覚など、とーっくに錆びて、錆びて、
もう、隅から隅までズズズイっとベラボーに錆びまくっちゃっていたのである。
今更、ミッション車なんてなぁ・・・・・・。
などと思いつつも、人生丸ごと体当たりで生きて来たこの私。
とにかく車を走らせなきゃ、ホテルまで辿り着けないのである!
頑張ってみる他ない。
で、恐る恐るキーを回してエンジンを掛け、おっかなびっくりクラッチを繋いでみる。
プスン。
あいや=!いきなしエンストではないですか~~~~っ!?
もっ回やってみる。
プスン。
あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!
なーんて事を、散々、繰り返し、繰り返し、それでも粘り強くチャレンジし続けていると、
か、母ちゃん、俺、やったよぅ!
いかな、めーっちゃドン臭いこの私であっても、
何とかヨロヨロと車を発進させる事くらいはできるようになったのである。
おおぅ、これくらいできれば、もうバッチシだぜ~~~~~~っ!
などと、大層、調子に乗りつつ、
今度こそ、ようやく、サン・ヴィート・ロ・カーポへ向けて出発なのであーる。
で、天蓋に緞帳が掛かったかのような暗い夜道へ、パツーン!と車を滑り込ますと、
後は、ガーミン様の御託宣通りに進めば良い。
しかも、ナント孝行息子だこと!今回もまた、ガーミン君が大活躍!
大体、右も左も全く分からぬ異国の土地で、しかも、夜!?
こーんなバッド・コンディションな中、
あっちへ行けとか、こっちへ進めとか、実に適確な指示を与えてくれるのである。
例え、道を間違えても、たちまちリルートしてくれるし、ホーント、ありがたい限り。
もし、ガーミン君が無かりせば、夜道を走って、ホテルまで、無事、辿り着く事など、
ぜってー叶わなかっただろうなぁ。
と言いつつも―。
一旦、大きな道路に出てしまえば、割合、街路灯も明るく、
(ちなみに、パレルモ国際空港から、ホテルまで、およそ86kmくらい)
大層、気を良くしながら、ひたすら西へ西へと車を進める。
高速は、すこぶる快適。
さすがにギア・チェンジにも慣れかけて来た頃、
ふと振り返ると、後部座席の家人達は、長旅のお疲れモードで、ぐっすり爆睡中。。。。。。
あぁ、お父さんはつらいよ!
今年もやはり・・・・・やはりなぁ、なのである。
そして―。
車を飛ばして、1時間少々、高速を降りて、ひたすら山道を駆け上って行くと、
ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!
ついに、念願のサン・ヴィート・ロ・カーポの看板がお目見えする!
さぁ、ラストスパートなのであーる!