Castillo de Tossa de Marに登る
特に、今回は、ズッポシ一人旅なものだから、
誰彼気兼ねせずとも良い、いいご身分なのである。
従って、ベランダ越しに見える、砦?要塞?お城?何やよう分からん実に古そうな建築物に、
つるりと見惚れてしまい、ついつい行ってみたくなった。
(後で調べてみると、「Castillo de Tossa de Mar」と言うのだそうな。つまりお城が正解。)
と言う事で―。
張ーり切って、GO!
5分も掛からず、お城の裾まで辿り着く。
辺りには、レストランがワンサカ立ち並んでおり、
おかげで、滞在中、食べる所にゃ、まーったく不自由しなかった。
ほんで、横目でビーチの方をチェックしてみると、
おおぅ、中々、良い塩梅でないかい?
これだけ透明感があれば、もう充分!
翌日からの華やかなるビーチライフを想像すると・・・・・・ムフ^^
機嫌良く、テクテク石畳を登って行く。
街の風景が段々と小さくなって行く。
そして、多少の息切れを覚えた頃に、ふと振り返ってみれば、
砦越しに広がる青い青いビーチが目に飛び込んで来て、
いやぁ、ちょっと登っただけなのに、エライ見晴らしの良いこと。
更に登って行くと、ビーチもドンドン遠くなって行く。
ちょうど天辺まで辿り着くと、そこからぐるりと反対側の景色も望めるようになっており、
やっぱ、高い所から見下ろす海は、心にグッと来るなぁ。
悠久の地中海が眼前にパツーン!と拡がり、
煙草を咥え、ホケェーーっと眺めているだけでも、ジャブジャブ命を洗濯してくれる。
また、一番上までやって来ると、ようやくビーチの全容も見通す事ができ、
明くる日は、このだだっ広いビーチに、
心置きなく存分に寝そべってやろうじゃぁ、あ~りませんか!
そして、呆けている事にも、やや飽きて来たら、今度は、お城の裏っ側を探訪する。
どうやら城壁はこの小高い丘の周りをグルっと囲んでいるような感じである。
まぁ、そもそも敵から攻め入られないように造ってあるモノだからなぁ。
ほんで、城壁内は、いわゆる城下町みたいな感じになっており、
まるで、「カリオストロの城」に立ち入ったかのよう。
私は、さながら銭形幸一さんのように、と言いつつ、満更でもない面持ちで、
この、どこを見渡しても、石と漆喰で塗り固められた建物ばかりが立ち並ぶ迷宮のような小径を徘徊し、
トッサデマールの薄い日差しに目を細める。
そして、迷ってんだか、進んでんだか、よく分からない程に、
ズンズン奥の方へ奥の方へと足を運んで行くと、
あらま!?
ここにも小さなビーチが!
両脇を崖に挟まれ、やや窮屈そうな感じではあるけれど、
私ゃ、小じんまりとしたビーチも大好きだ。
(できれば余り人気のない方が良い)
このビーチも、一度は来なきゃなぁ、などとは思いながら、
何しか、一週間もここで過ごすのである。
小さな幸運を手にする時間は、たっぷりとある。
そして、更に進んで行くと、どうも、この石畳は城壁を取り囲むように巡らされており、
裏側を周っている中に、ゆるい弧を描いて戻って来るような印象である。
すると、お城の横手にもレストランがいくつも割拠し、
正直、たった一週間では、とても回り尽くせないくらいに数が多い。
しかも、ここは、美食の国スペイン!
小さな幸運は、何もビーチにだけ転がっている訳では、決してないのである。